負けない居抜き戦略

通常、不動産賃貸の場合だと退去するには事前に通知をして借りた物件を借りる前の状態に戻す、原状回復義務があります。居抜き物件として出す側(廃業あるいは移転退去する側)の気持ちとしては、内装や吸排気設備、厨房設備、備品などまだまだ綺麗で使えるため、適正価格で譲渡できないかと考える方もおられます。一方で、解体費用がかからないので引き取ってもらえるだけでいい、と考える方もおられます。譲渡する金額は、この思惑の違いで大幅に変わってきます。また、仮に格安で引き継げたとしても、色々費用がかかります。

例えば、厨房機器だとクリーニングの費用も発生しますし、電気機器(エアコンなど)も古いと電気代が余計にかかったり、故障・修理の費用がかかったり、不要な機器を廃棄するための費用がかかったりして、新規にスケルトンの形で開業するよりも多く金額が嵩んだ例もあります。ですから、居抜き物件の譲渡金額は、これらのことも踏まえて考える必要があるでしょう。

一般的には、開業後5年を経過したものの価値はゼロと考えて良いです。なぜならば、厨房機器・店舗設備などの設備機器の償却は5年以下ですし、そもそも中古専門の買取業者も値を付けません。また、故障率も高くなっていきます。居抜きで借りた物件で開業初日にエアコンが壊れて営業ができない、ということもありえます。